図書館史の参考文献
研究文献
入門書
- 長澤雅男・戸田愼一編『図書館学研究入門:領域と展開』(日本図書館協会、1990)
- 第2章 図書および図書館の歴史(戸田愼一執筆)
- JLAほか発行の教科書類
- 教科書の比較分析については、関西文脈の会第20回勉強会報告「司書養成科目「図書・図書館史」を考える 問題編と解答編」が参考になる。
動向紹介
研究史
- 石井敦「わが国の図書館史研究について」『図書館文化史研究』20号(2003年)
- 戦後の研究についての回想。
- 三浦太郎「日本における図書館史研究の概況」上田修一研究代表『エビデンスベーストアプローチによる図書館情報学研究の確立』文部科学省科学研究費補助金研究成果報告書(基盤研究(B)、課題番号18300081、2008年)
- 戦前からの図書館史研究の歴史,戦後中心。史料について。
文献レビュー
- 三浦太郎「CA1673 研究文献レビュー 図書館史」『カレント・アウェアネス』No.297(2008年9月20日)
- 2002年頃以降,日本を中心に。
- 三浦太郎「日本の戦後図書館史: 戦後占領期を中心に」三田図書館・情報学会編『図書館・情報学研究入門』(勁草書房、2005年)
- 三浦太郎「日本図書館史研究の特質 : 最近10年間の文献整理とその検討を通じて」明治大学図書館情報学研究会 編『明治大学図書館情報学研究会紀要』3号(2012年)
基本文献
通史
このほか日本を対象とした戦前からの研究として竹林、小野の研究がある。
- 竹林熊彦『近世日本文庫史』(大雅堂、1943)
- 小野則秋『日本図書館史』(蘭書房、1952)
- 1970年に玄文社からリプリントが、1981に増補訂正版が刊行されている。
戦後、とりわけ1960年代の図書館運動のなかで生み出されてきた石井の研究をまとめたものとして
- 石井敦『日本近代公共図書館史の研究』(日本図書館協会、1972)
- 古典。1970年代の日本近代史学の水準を踏まえたもので、当時の著者の並々ならぬ意欲がうかがわれる。
その後は次のような文献が出ている。
- 永末十四雄『日本公共図書館の形成』(日本図書館協会、1984.4)
- 日本図書館協会編『近代日本図書館の歩み』本篇・地方篇(日本図書館協会、1992~1993)
- 日本図書館協会百年史(前身の日本文庫協会は1892設立)。地方篇では各府県の図書館史が記述される。
- 岩猿敏生『日本図書館史概説』(日外アソシエーツ、2007.1)
- 古代~近代までの通史
伝記
- 石井敦『図書館を育てた人々』日本編 1(日本図書館協会、1983)
- 外国編もある。
- 日本図書館文化史研究会編『図書館人物伝 : 図書館を育てた20人の功績と生涯』(日外アソシエーツ発行、紀伊國屋書店(発売)、2007.9)
- 日本人篇. 覚え書秋田県立秋田図書館長佐野友三郎のこと / 小川徹 著. 図書館員教習所設置の意義 / 坂内夏子 著. 帝国図書館長松本喜一について / 鈴木宏宗 著. 森清の生涯と業績 / 石山洋 著. 府中市立図書館長大西伍一 / 小黒浩司 著. 情熱の図書館人,村上清造 / 参納哲郎 著. 叶沢清介の図書館づくり / 石川敬史 著. 半月湯浅吉郎,図書館を追われる / 高梨章 著. 志智嘉九郎の業績について / 伊藤昭治 著. 「道の島」に本を担いで / 井谷泰彦 著.
- 外国人篇. ヴァルター・ホーフマンとドイツの公共図書館 / 河井弘志 著. 児童図書館員リリアンH.スミス小伝 / 深井耀子 著. ジョン・ショウ・ビリングスの二つの生涯 / 藤野寛之 著. ジョン・コットン・デイナの生涯と図書館哲学 / 山本順一 著. アメリカ公共図書館における自動車図書館の先覚者メアリー・レミスト・ティッコム / 中山愛理 著. ピアス・バトラーの図書館学における理論と実践 / 若松昭子 著. 戦後占領期初代図書館担当官キーニー / 三浦太郎 著. 20世紀アメリカのライブラリアンそして図書館学者ジェシー・H・シェラについて / 松崎博子 著. セーチェーニ・フェレンツの生涯 / 伊香左和子 著. 「はだしのライブラリアン」の足跡 / 宮原志津子 著.
- 今まど子・高山正也編著『現代日本の図書館構想 : 戦後改革とその展開』(勉誠出版、2013)
- 全体としては戦後図書館史に関する論文集だが、戦後図書館で活躍した人物の評伝を含む。
- はしがき / 高山正也. 展望 / 高山正也. 前田多門とシビックス(civics)概念の提唱 / 高山正也. 金森徳次郎と草創期の国立国会図書館 / 春山明哲. CIEインフォメーション・センターの活動 / 今まど子. 資料紹介:日本の新しい図書館学校 / ロバート・ダウンズ(今まど子訳). ドン・ブラウンと再教育メディアとしての図書館 / 三浦太郎. ロバート・ギトラーと日本図書館学校 / 高山正也. 福田直美と1959年のアメリカ図書館研究調査団 / 小出いずみ. 占領下日本における図書館法制定過程 / 三浦太郎. 図書館社会教育論の実体 / 佃一可. 図書館問題研究会の成立と展開 / 佃一可.図書館流通センターとはなにか / 佐藤達生. インタビュー:日本図書館学校の思い出 / 今まど子. 日本図書館史年表 / 村上篤太郎.
人名辞典
- 石井敦編著『簡約日本図書館先賢事典 : 未定稿』(石井敦(非売品)、1995.3)
年表
- 奥泉和久編著『近代日本公共図書館年表 : 1867~2005』(日本図書館協会、2009.9)
史料
活字になっているもの
雑誌
図書館史には史料が無い!という声があるが、図書館関係雑誌の現物が残っていることは多い。それらを適宜参照していくことは可能。
- 関西文庫協会『東壁』1号~4号:明治34(1901)年4月~35(1902)年3月)
- 学術文献普及会による復刻版あり(1974年刊行)
- 「関西文庫協会機関誌「東壁」自第1号至第4号総目次」『日本古書通信』第30巻11号(1965年11月)
- 「図書館研究団体および協議会との関係 第一節 関西文庫協会」『京都大学附属図書館六十年史』所収
- 日本図書館協会(創刊時は日本文庫協会)『図書館雑誌』:明治40年(1907)10月~
- 間宮商店『図書館研究』:1卷 (大13)-7卷 (大15.5) ; 2輯1卷 (昭2.8)-2輯2卷 (昭3.3)
- 図書館用品のカタログ
- 青年図書館員聯盟『青年図書館員聯盟会報』:1年1号 (昭3.6)-16年3号 (昭20.2)
- 原本の出版者: 大阪 : 青年図書館員聯盟、1年1号は『?研究』1巻242貢の複製、附:青年図書館員聯盟十年略史
- 複製版(1960年刊行)あり
- 青年図書館員聯盟『?研究(図書館研究)』:1巻1号 (1928.1)-16巻1号 (1943.10)
- 複製版あり
- 芸艸會『芸草会雑誌』:2巻2号 (大12.4)-3巻1号 (大13.3)
- 芸艸會『図書館研究』:3巻2号 (大13.7)-12巻6号 (昭11.8) ; 復刊1号 (1954.5)-4号 (1959.6)
- 復刻版『芸艸會々報』は橘会の発行、緑蔭書房 (発売)で1989年5月に復刻
- 書物同好会『書誌』:1冊 (大14.10)-4冊 (大15.7) ; 2年1冊 (大15.11)-
- 東京帝国大学附属図書館の司書らが結成
とりわけ、昭和初期は、関東大震災で文献が焼失したことの反省から多数の書物関係雑誌が生まれた。代表的なものとして斎藤昌三の以下の2誌
- 『愛書趣味』(1925~)
- 『書物展望』(1931~)
- 八木福次郎『書痴斎藤昌三と書物展望社』(平凡社、2006.1)参照
これらはゆまに書房刊行の書誌書目シリーズでも復刊されており、現在も参照しやすい。
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新聞
図書館史研究に使えるもので活字化されているもの。代表的は新聞、雑誌。
- 石井敦監修『図書館 : 新聞集成』全4巻(1992、大空社)
- 竹林熊彦の手元にあった新聞切抜なども含めて明治から昭和初期までの図書館関連のニュースを辿ったもの。
- 連載記事などは全部採ってはいない。 →新聞記事による帝国図書館探訪(みちくさのみち)
- 1巻が明治前期、2巻が明治後期、3巻が大正・昭和戦前期、4巻が昭和戦後期
- 4巻に図書館名などから引ける索引を付す。
書誌
図書については、石井敦氏が『中小レポート』で戦前に刊行された図書館系の著作を集めて並べているほか、以下がある。
- 武居権内『日本図書館学史序説』(理想社、1960)
- 「図書館学」の発展について、文献の解説も含む。
また図書館人が書いたと思われる著作については、以下からも探せる。
- 天野敬太郎編『図書館学関係文献目録集成』明治・大正・昭和前期編 全2巻(金沢文圃閣、2000-2001)
- 稲村徹元監修『図書館学関係文献目録集成』戦後編(1945-1969) 全4巻(金沢文圃閣、2001-2002)
図書館関係雑誌だけでなく、周辺の領域に図書館人が寄稿している事例は少なくない。図書館を広義の教育機関としてとらえた場合、以下も使える。
- 教育ジャーナリズム研究会編『教育関係雑誌目次集成』全101巻(日本図書センター、1986~1994)
- 人名索引巻があるので、それを引くと便利。
- 最終更新:2013-11-27 00:55:02