新聞史料の利用法考

史料批判

新聞の史料価値について論究したもっとも古い部類の文献としては以下のものがある。
  • 小野秀雄「新聞の史料的價値とその利用法」国立国会図書館図書館協力部編『びぶろす』1巻3号(1950年6月)
    • 小野秀雄は日本新聞学研究の先駆者。
    • 資料は東京大学情報学環に。社会情報研究資料センター高度アーカイブ化事業編、玉井建也、福重旨乃責任編集『小野秀雄関係資料目録』(東京大学大学院情報学環附属社会情報研究資料センター、2012.3)がある。
  • 次のような指摘があることは、留意すべき。
    • 「各紙のデジタル化やデータベース化が着々と進み、その方面での研究基盤が整備されつつある。戦前期からのものであれば、『朝日新聞』の「聞蔵ビジュアルⅡ」、『読売新聞』の「ヨミダス歴史館」、『毎日新聞』の「毎索(マイサク)」などが揃った。操作性や検索精度、オプションなどの偏差はかなりあるものの、これで紙面イメージの(最低限の)横断検索が可能になった。…しかし、そうした環境が箱庭的に充足の場となってしまってはつまらない。」「デジタル化されたものだけが世界のすべてだと錯覚してしまう危険。日々進化する諸資料のデジタル・アーカイブ化の恩恵はかかる錯覚のさらなる蔓延と背中あわせにある」(大澤聡「アーカイブ―副次的利用と箱庭化」『出版ニュース』2013年7月下旬、15頁)

主要新聞題号変遷早見表(全国紙)

  • 佐々木隆著『メディアと権力』(中央公論新社、1999)24~25頁を参照しつつ作成。※こちらに詳細版あり。
新聞.png

有償データベース

近年、非常に使いやすく整備された。図書館等で利用可能なもの。毎年、図書館総合展(10月末)で拡張機能のリリースがされてもいるようで、今後も期待できる?いずれも今後改修されて仕様変更になる可能性が多分にあるので注視が必要。

1.ヨミダス歴史館(読売新聞社)

  • 旧・読売新聞CD-ROM(明治編から昭和編まで)のデータを継承?
  • 「全文検索」と「キーワード検索」を選択できるが、明治・大正・昭和では「キーワード検索」がよい
    • 「キーワード検索」を行うと、多くの記事がヒット。一方、「全文検索」では、見出しのテキストのみを検索対象とするためヒット数が限定される。
  • 明治の記事でも現代の言葉に置き換えたキーワードを採録している点で使い方に注意が必要。
    • 例 「大衆」で検索した場合、1876.02.29「東京府へ生活苦訴える決起集会の張り札 当日は大衆行動なし」などの記事がヒットする。記事の分類は「市民運動」。しかしいわゆる血税反対一揆の時期のそれを市民運動と呼べるかどうかは歴史学的な知見とは別次元のものともいえる。
      • 元データの作成方法については、中村義成述「明治・大正・昭和の読売新聞(CD-ROM)」国際文化会館図書室編『日本研究に役立つ電子情報源とその利用』(国際交流基金発行、日本図書館協会 (発売)、2004.12)に言及がある。新聞社の記念事業としてOB・OGが協力してキーワード採録などを担当した由。

2.聞蔵Ⅱビジュアル(朝日新聞社)

  • 「朝日新聞縮刷版 1879~1984」のキーワード検索では、各記事の見出しと各記事にカテゴリーとしてつけられているキーワードを対象に全文検索される模様。
  • 記事本文を対象とした検索方式ではない。
  • ただし、お悔やみなど、人名は重点的にキーワードとして採録しているようなので記事は見つけやすい。

3.毎索(毎日新聞社)

  • 2011年4月リリース
  • 提供可能期間:1882~1999(1987~記事本文)
  • ただし、著者から検索するのは難しそう。東京日日新聞関係で、福地源一郎で引いてみると、在任中で14件ヒット。成島柳北で引いたら、死亡記事のみヒット。
  • 以下のものが除外されている。
    • 外部執筆者の寄稿原稿のうち許諾がとれていないもの(連載小説など)
    • ラジオ、テレビ面の番組表、証券面、相撲の番付表などの表組みのもの
    • 地図、挿絵、4コマ漫画などテキスト化できないもの

その他


  • 最終更新:2013-11-27 01:00:14

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