日本的図書館

欧米の図書館の模倣を求めてきた日本の図書館業界だが、昭和初期になると、日本固有の図書館のあり方を理論的に探究しようとする動きが出てくる。そのいくつかを紹介する。

田村盛一の意見

「とに角現在我が国に於ける図書館事業は、相当に近代文化的意義に於て必要視されてゐる程に進んで来てゐる。しかし遺憾ながらその進み方には尚全体としての統一的独自性がなく、バラバラに独善的外国模倣に留つてゐる点が殊に多くはあるまいか。この内国的無統一と対外的に対立の関係は、同様に議論せらるべきものではないことはこゝに呶々することを要すまい。我等は我が国図書館の進歩発達上に於て、各種の点に統一的に規格を定むるを要するの必要ある所以を認むると共に、すべてを同型になすことをこれ科学的能率増進なりと信ずる人に対して、異論を持つのみならず、反省を促したいと思ふ。而して我々は協力一致して、この我が図書館過去の経験を顧みることによつてそれを綜合研究し、新らしき出発点をこゝに定めたいと思ふ。かゝるとき「日本的図書館の出現」を見ると信ずるものである。 (*1)」 

そのための方策

  1. 先輩に図書館経営上における多年の経験・意見を発表を乞う
  2. 同じく書誌学的知識の発表を乞う
  3. 図書館視察の感想批評を乞う
  4. 特殊の事情を日本図書館協会に知らせ、適当に誌上に発表する。
  5. 事業一覧の図書館への配布
  6. 帝国図書館の一般開放を禁じ、特殊研究家のための設備を拡充する (*2)

図書館の「日本的」論争

  • 書物蔵氏が様々資料を集めておられる増田七郎も日本的図書館論を展開した一人である。
  • こちらは、1940年代になってから様々な議論がなされた?

その他

  • 欧米の図書館の模倣から日本固有の図書館の探究という意味では、大正末期・昭和初期あたりから、奈良の石上宅嗣の芸亭や和田万吉の図書館史研究が始まることも、より大きなコンテクストとして理解可能ではある。

  • 最終更新:2013-11-24 01:10:17

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